ブログ

BLOG

小児予防矯正とは?後悔しないための全知識|費用・デメリットも解説

お子様の歯並びを見て、「少し出っ歯な気がする」「歯と歯の間にすき間がない」など、気になる点はご家庭によって様々でしょう。

そこで近年注目されているのが、お子様の負担を抑えながら将来の歯並びの土台を作る「小児予防矯正」です。

この記事では、熊本県熊本市南区にあるかどおか歯科医院が、小児予防矯正の基本から、メリット・デメリット、具体的な治療法、費用まで、網羅的に解説します。

この記事を最後まで読めば、小児予防矯正に関する疑問や不安が解消され、お子様にとって最善の選択をするための一歩を踏み出せるはずです。

小児予防矯正の基本

小児予防矯正

「予防矯正」という言葉を初めて聞いた方も多いかもしれません。
まずは、この治療法がどのような目的を持ち、一般的な小児矯正と何が違うのか、基本から理解していきましょう。

目的は「歯並びが悪くなる原因」の根本改善

小児予防矯正の最大の目的は、歯並びが悪くなってしまった後に対処するのではなく、歯並びが悪くなる「根本的な原因」にアプローチして未然に防ぐことです。

多くの歯並びの問題は、遺伝だけでなく、口呼吸や舌の癖、間違った飲み込み方といった後天的な習慣が大きく影響しています。

予防矯正では、これらの癖を改善するトレーニングを行いながら、顎の健やかな成長をサポートします。

その結果、永久歯が本来生えるべきスペースに正しく並ぶよう導き、将来の健康な歯並びの土台を築きます。

一般的な小児矯正(I期治療)との違い

小児矯正には、顎の成長をコントロールする「I期治療」と、永久歯が生えそろってから歯並びを整える「II期治療」があります。

予防矯正は、このI期治療に含まれることが多いですが、特に「原因へのアプローチ」を重視する点で、従来のI期治療とは少し異なります。

項目 小児予防矯正 一般的な小児矯正(I期治療)
主な目的 歯並びを悪くする原因(癖など)の改善
顎の正しい成長の促進
顎を広げて永久歯が生えるスペースの確保
アプローチ 口腔機能トレーニング(MFT)と装置を併用 主に拡大装置(床矯正など)を使用
特徴 顔立ちや呼吸の改善も期待できる 歯を並べる土台作りに特化
将来の治療 II期治療が不要になる、または軽度で済む可能性が高い II期治療で本格的な矯正が必要になることが多い

このように、予防矯正はより根本的な解決を目指す治療法と言えます。

何歳から始めるべき?5〜10歳が最適な理由

お子様が予防矯正の対象になるか、気になる方も多いでしょう。

一般的に、小児予防矯正を始めるのに最適な時期は、5歳から10歳頃の「ゴールデンエイジ」とされています。

この時期は顎の骨がまだ柔らかく、成長段階にあるため、少ない負担で大きな効果が期待できるからです。

特に上顎の成長は10歳頃までにほぼ完了してしまうため、それまでに介入することが非常に重要になります。

もちろん、お子様一人ひとりの成長スピードや歯並びの状態によって最適な開始時期は異なりますので、まずは専門の歯科医院に相談することが大切です。

これって大丈夫?歯並び悪化の危険サインと根本原因

歯並び悪化

「うちの子は、まだ大丈夫」と思っていても、気づかないうちに歯並びを悪化させるサインが出ているかもしれません。

ここでは、ご家庭でチェックできる歯並び悪化の危険サインと、その根本原因となる癖について解説します。

【セルフチェック】口呼吸や舌の癖、指しゃぶりなど見逃しがちな子供の習慣

お子様に以下のような癖や症状が見られる場合、将来の歯並びに影響を与える可能性があります。

  • いつもお口がポカンと開いている(口呼吸)
  • 食事の時にクチャクチャと音を立てる
  • 飲み込むときに舌が前に出る
  • 指しゃぶりがなかなかやめられない
  • 話すときに舌足らずな発音になる
  • 頬杖をつく癖がある
  • 寝ているときにいびきをかく

これらの習慣は、単なる癖ではなく、お口周りの筋肉が正しく使えていないサインです。

癖・習慣 歯並びや顎への影響
口呼吸 上顎の成長が不足し、出っ歯や歯がガタガタになる原因に。口腔内が乾燥し、虫歯や口臭のリスクも高まります。
舌の癖(低位舌) 舌が下顎を押すことで、受け口になったり、歯と歯の間にすき間ができたりします。
指しゃぶり 長期間続くと、指が前歯を押し続け、出っ歯や開咬(奥歯で噛んでも前歯が閉じない状態)を引き起こします。
頬杖 片方の顎に継続的な力がかかり、顔の歪みや歯並びの非対称につながる可能性があります。

一つでも当てはまる項目があれば、一度歯科医師に相談してみることをお勧めします。

やってよかった?メリット・デメリットを解説

小児予防矯正

治療を決断する前に、メリット・デメリット、両方の側面をしっかりと理解しておくことが重要です。

将来の負担を減らす!5つの大きなメリット

小児予防矯正には、目先の歯並びだけでなく、お子様の将来に繋がる多くのメリットがあります。

  1. 将来の本格矯正の負担を軽減
    早期に土台を整えることで、将来ワイヤーなどを使った本格矯正が不要になったり、必要でも抜歯を避けられたり、治療期間を短くできる可能性が高まります。
  2. 顔立ちのバランスが整う
    顎の健やかな成長を促すため、出っ歯や受け口が改善され、バランスの取れた顔立ちに導きます。
  3. 抜歯の可能性を低くできる
    顎を適切に成長させてスペースを確保するため、永久歯を抜かずに歯を並べられる可能性が高まります。
  4. 口呼吸から鼻呼吸へ改善
    鼻呼吸を促すことで、虫歯や歯周病、アレルギーのリスクを軽減し、全身の健康にも良い影響を与えます。
  5. コンプレックスの解消
    見た目を気にする年齢になる前に歯並びを整えることで、お子様が自信を持って笑顔で過ごせるようになります。

知っておくべき3つのデメリットと注意点

良いことばかりに見える予防矯正ですが、デメリットや注意点も存在します。

項目 メリット デメリット・注意点
将来性 本格矯正の負担(期間・費用・抜歯)を軽減できる。 予防矯正だけでは完璧にならず、II期治療が必要な場合もある。
治療範囲 歯並びだけでなく、顔立ちや呼吸の改善も期待できる。 骨格的な問題が大きい場合は、効果に限界がある。
お子様の協力 装置がシンプルで痛みが少ないため、協力しやすい。 お子様本人の協力が不可欠。装置の装着やトレーニングを嫌がる可能性がある。
期間 成長に合わせて治療するため、無理なく進められる。 成長に合わせて進めるため、治療期間が1年〜3年と長くなることがある。

最も大きなポイントは、お子様本人の協力が不可欠であるという点です。

ご家族のサポートと、お子様が楽しく続けられるような工夫が成功の鍵となります。

どんな治療をするの?子供に優しい治療法と流れ

小児予防矯正

「矯正って痛くて大変そう…」というイメージをお持ちの方もご安心ください。

小児予防矯正は、お子様の心身の負担を最小限に抑えた、優しい治療法が中心です。

主流は痛みの少ないマウスピース型装置(トレーナー・マイオブレース等)

現在の予防矯正では、取り外しが可能で痛みの少ないマウスピース型の装置が主流です。

ワイヤーのように常に装着する必要がなく、食事や歯磨きの際は外せるため、お子様の日常生活への影響も最小限に抑えられます。

装置名 主な対象年齢 特徴 装着時間の目安
トレーナー 4歳〜8歳頃 口周りの筋肉を鍛え、口呼吸や舌の癖を改善するのに効果的。柔らかい素材でできている。 日中1時間+就寝中
マイオブレース 3歳〜15歳頃 歯並びを悪くする根本原因の改善を目的としたトレーニングと併用。幅広い症例に対応。 日中1〜2時間+就寝中
ムーシールド 3歳〜6歳頃 主に受け口(反対咬合)の早期治療に用いられる。下顎の成長を抑制し、正しい成長を促す。 就寝中のみ

これらの装置は、お子様のお口の状態や年齢、癖の種類によって最適なものが選択されます。

根本改善の鍵「お口のトレーニング(MFT)」

装置の装着と並行して非常に重要なのが、口腔筋機能療法(MFT:Oral Myofunctional Therapy)と呼ばれるお口のトレーニングです。

これは、舌や唇、頬の筋肉を正しく使えるようにするリハビリのようなもので、後戻りを防ぎ、治療効果を確実にするために欠かせません。

  • 舌を正しい位置(スポット)に置く練習
  • 「あいうべ体操」などで口周りの筋肉を鍛える練習
  • 正しい飲み込み方を覚える練習

歯科医師や衛生士の指導のもと、ご家庭で毎日コツコツと続けることが大切です。

初診相談から治療完了までのステップ

実際に治療を始める際の、一般的な流れを把握しておきましょう。

  1. 初診相談・カウンセリング
    まずは親御さんの悩みや希望を詳しくヒアリングします。治療の概要や費用、期間について説明を受けます。
  2. 精密検査
    レントゲン撮影やお口の写真撮影、歯の型取りなどを行い、お子様の顎の成長段階や歯並びの状態を正確に診断します。
  3. 治療計画の説明
    検査結果をもとに、お子様に最適な治療計画、使用する装置、具体的な費用や期間について詳しい説明を受けます。
  4. 治療開始
    装置が完成したら装着を開始し、ご家庭でのトレーニングもスタートします。月に1回程度通院し、お口の状態のチェックやトレーニングの指導を受けます。
  5. 保定・経過観察
    歯並びが整ったら、後戻りを防ぐための保定期間に入ります。定期的に検診を受け、永久歯が生えそろうまで経過を観察します。

一番気になる「費用」の話|総額と内訳、医療費控除

費用

治療を決める上で、費用は最も気になるポイントの一つです。

ここでは、具体的な相場や総額の考え方、そして負担を軽減できる制度について詳しく解説します。

治療法ごとの費用相場と総額の考え方

小児予防矯正は保険適用外の自由診療となるため、費用は歯科医院によって異なります。

一般的な費用相場は以下の通りです。

治療法 費用の目安(総額) 主な内訳の例
トレーナー 約30万円 〜 40万円

装置代、月々の調整料

マイオブレース

約30万円 〜 60万円

装置代、トレーニング指導料、月々の調整料

床矯正

約30万円 〜 50万円

装置代、月々の調整料

重要なのは、提示された金額がどこまで含まれているかを確認し、「治療完了までの総額」で考えることです。

保険は効く?医療費控除で負担を軽くする方法

前述の通り、予防矯正に公的医療保険は適用されません。

しかし、「発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の治療」と診断された場合、税金の医療費控除の対象となる可能性があります[5]。

医療費控除とは、1年間に支払った医療費が10万円を超えた場合に、確定申告をすることで所得税の一部が還付される制度です。

お子様の治療だけでなく、ご家族の医療費も合算できます。詳しくは、最寄りの税務署や国税庁のウェブサイトでご確認ください。

親御さんの不安を解消!よくある質問Q&A

ここでは、親御さんからよく寄せられる質問にお答えします。

  • Q.子どもが装置の装着を嫌がったらどうすればいいですか?
  • A.最初は違和感から嫌がることがありますが、ほとんどのお子様は数日で慣れていきます。無理強いはせず、「これを着けると歯がカッコよくなるよ」など、ポジティブな声かけでモチベーションを上げてあげることが大切です。ご褒美シールなど、ゲーム感覚で楽しく続けられる工夫も効果的ですよ。
  • Q.治療中に痛みはありますか?
  • A.ワイヤー矯正のように歯を強く動かすわけではないため、強い痛みを感じることはほとんどありません。装置を調整した後や、新しい装置を使い始めた際に、少し圧迫感や違和感を覚えることがありますが、通常はすぐに治まります。

 

まとめ:お子様の10年後の笑顔のために。熊本市で信頼できる歯科医院へ相談を

小児予防矯正は、単に歯並びをきれいにするだけでなく、お子様の健やかな成長を促し、将来の心身の健康を守るための大切な「未来への投資」です。

口呼吸や舌の癖といった根本原因に早期からアプローチすることで、本格矯正の負担を減らし、お子様が自信に満ちた笑顔でいられる土台を作ります。

もし熊本県熊本市南区やその近辺で、お子様の歯並びや癖について少しでも気になることがあれば、ぜひ一度かどおか歯科医院へご相談ください。

かどおか歯科医院では、お子様がリラックスして過ごせるキッズスペースを完備し、痛みを最小限に抑えた優しい治療を心がけています。

「うちの子はどうなんだろう?」という小さな疑問や不安でも構いません。お子様の10年後、20年後の笑顔のために、まずはお気軽にご相談ください。