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【乳歯に隙間がない】永久歯の歯並びは大丈夫?矯正はいつから?年齢別の対処法を解説

「子どもの乳歯がぎっしり詰まって生えている…」
「1歳半や3歳児健診で、歯の隙間がないことを指摘された…」

お子さんの歯を見て、このように感じていませんか。

この記事では、熊本県熊本市南区にあるかどおか歯科医院が、乳歯に隙間がない場合の影響から、ご家庭でできる対策、専門的な矯正治療の種類や費用、開始時期まで、専門家の知見を交えて分かりやすく解説します。

「乳歯に隙間がない」は本当に問題?

乳歯

乳歯が生えそろったばかりのお子さんの歯に隙間がなくても、すぐに大きな問題となるわけではありません。特に3歳から4歳くらいまでは、顎も成長の途中段階です。そのため、過度に心配しすぎる必要はないケースもあります。

しかし、将来の永久歯の歯並びを考えると、注意しておきたい影響や、専門家への相談を検討すべきタイミングがあるのも事実です。まずは、どのようなリスクがあるのか、そして、どんな状態になったら歯科医に相談すれば良いのかを知ることから始めましょう。

放置するリスクは?将来の歯並びや健康への2つの影響

乳歯に隙間がない状態をそのままにしておくと、主に2つのリスクが考えられます。

  1. 永久歯の歯並びが乱れる可能性
    永久歯は、乳歯よりも一本一本のサイズが大きいのが特徴です。
    そのため、乳歯の段階で隙間なくぎっしり並んでいると、後から生えてくる永久歯のスペースが足りなくなってしまいます。結果として、歯が重なり合って生えたり(叢生)、八重歯になったりと、歯並びがガタガタになる可能性が高まります。
  2. 虫歯になりやすくなる
    歯と歯が密着していると、歯ブラシの毛先が届きにくくなります。歯間に汚れが溜まりやすくなるため、虫歯のリスクが高まってしまうのです。乳歯の虫歯は、その後に生える永久歯の健康にも悪影響を及ぼすことがあります。
歯科相談を検討すべきサインは?年齢で見るチェックポイント

お子さんの成長には個人差がありますが、以下のようなサインが見られたら、一度、小児歯科や矯正歯科に相談することをおすすめします。

  • 5歳~6歳になっても隙間が見られない
    永久歯への生え変わりが近づくこの時期に、特に前歯の隙間がほとんどない(3mm未満など)場合は注意が必要です。
  • 受け口(反対咬合)になっている
    下の前歯が上の前歯より前に出ている「受け口」は、自然に治る可能性が低いと言われています。3歳児健診などで指摘された場合は、早めに専門医に相談しましょう。
  • 出っ歯(上顎前突)や開咬が気になる
    上下の前歯がうまく噛み合わない「開咬」や、上の歯が極端に前に出ている「出っ歯」なども、注意したい歯並びです。これらの不正咬合は、見た目だけでなく、咀嚼や発音の機能にも影響を与えることがあります。

矯正の前に試したい!家庭でできる顎の成長を促す2つの習慣

矯正

歯科医院での専門的な治療の前に、ご家庭での日々の習慣を見直すことで、お子さんの顎の成長をサポートできる場合があります。

① 食事で「噛む力」を育てる

顎の骨は、しっかりと噛むことによる刺激で成長が促されます。毎日の食事を少し工夫するだけで、お子さんの「噛む力」を育てることができます。

意識したい食事のポイントは以下の通りです。

ポイント 具体的な工夫の例
食材選び ・根菜類(にんじん、ごぼう)やきのこ類、海藻などを食事に取り入れる
・おやつに煮干しやスルメ、おしゃぶり昆布などを選ぶ
調理法 ・食材を少し大きめにカットする
・加熱時間を短くして、歯ごたえを残す
食べ方 ・一口あたり30回程度噛むことを目標にする
・テレビを見ながらの「ながら食べ」をやめ、食事に集中させる

すぐに全てを実践するのは難しいかもしれませんが、できることから一つずつ始めてみましょう。

② 歯並びに影響する癖(指しゃぶり・口呼吸など)の改善

指しゃぶりや爪噛み、口をぽかんと開けている口呼吸などは、無意識に行っていることが多く、歯並びや顎の成長に悪い影響を与えることがあります。

無理にやめさせようと叱るのではなく、遊びの延長で楽しく改善していくのがおすすめです。例えば、口周りの筋肉を鍛える「あいうべ体操」は、口呼吸の改善に効果的です。

  • あー:口を大きく開ける
  • いー:口を横に大きく広げる
  • うー:唇を前に突き出す
  • べー:舌を思い切り下に伸ばす

親子で一緒に楽しみながら、正しい口の使い方を身につけていきましょう。

子どもの歯列矯正、いつから何をやるの?種類・費用・期間を徹底比較

歯列矯正

家庭での対策だけでは改善が難しい場合や、すでに歯並びの乱れが見られる場合は、専門的な矯正治療が必要になることがあります。子どもの矯正治療は、大人の矯正とは目的が異なり、顎の成長をコントロールしながら進めるのが特徴です。

主な小児矯正の種類と特徴を比較しながら見ていきましょう。

主な小児矯正の種類と特徴(予防矯正・床矯正・マウスピースなど)

子どもの矯正治療(第1期治療)には、いくつかの選択肢があります。お子さんの年齢や歯並びの状態、生活スタイルに合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。

治療法 対象年齢 (目安) 主な装置 メリット デメリット 費用 (目安) 治療期間 (目安)
予防矯正 3歳~10歳 プレオルソ (マウスピース型) ・痛みが少ない
・悪癖の改善が期待できる
・早期に始められる
・装着時間の管理が必要
・患者本人の協力が不可欠
20万円~40万円 1年~2年半
床矯正
(しょうきょうせい)
5歳~10歳 拡大床 (取り外し式装置) ・顎を広げスペースを作る
・取り外し可能で衛生的
・比較的痛みが少ない
・装着時間の管理が必要
・ネジ回しなどの管理が必要
・患者本人の協力が不可欠
20万円~40万円 1年~1年半
ヘッドギア 6歳~8歳 ヘッドギア (顔の外に装着) ・上顎の過成長を抑制できる
・在宅時のみの使用
・見た目が気になる
・装着時間が長い (1日17時間以上など)
10万円~30万円 半年~1年
マウスピース矯正 7歳~9歳 インビザライン・ファースト (透明マウスピース) ・目立ちにくい
・取り外し可能で衛生的
・痛みが少ない
・装着時間の管理が非常に重要 (1日20時間以上)
・自己管理能力が問われる
30万円~60万円 2年~3年
ワイヤー矯正
(第2期治療)
12歳~ ブラケット、ワイヤー (固定式) ・適応範囲が広い
・細かい歯の移動が可能
・効果が高い
・目立ちやすい
・歯磨きがしにくい
・痛みを伴うことがある
70万円~80万円 2年~3年
各治療法の補足
  • 予防矯正: 主に口呼吸や舌の癖など、歯並びを悪くする根本的な原因の改善を目指す治療です。
  • 床矯正: 取り外し式の装置に入っているネジを少しずつ回すことで、顎の骨をゆっくりと広げ、永久歯が並ぶスペースを確保します。
  • ヘッドギア: 主に出っ歯(上顎前突)の症例で、上顎の成長を抑えるために用いられます。
  • マウスピース矯正: 透明なマウスピースを定期的に交換していくことで、歯並びと顎の拡大を同時に行います。
  • ワイヤー矯正: すべての永久歯が生えそろった後に行う本格的な矯正治療です。歯の一つ一つに装置をつけ、精密に歯を動かします。
治療効果を高める「MFT(口腔筋機能療法)」とは?

矯正治療と並行して、「MFT(口腔筋機能療法)」と呼ばれるトレーニングを行うことがあります。これは、舌や唇、頬など、お口周りの筋肉の正しい使い方を覚えるためのリハビリのようなものです。

例えば、舌をいつも正しい位置(上顎の少し手前)に置いておくトレーニングや、正しい飲み込み方を練習します。このMFTを組み合わせることで、矯正装置による治療効果を高めるだけでなく、治療後の歯並びが元に戻ってしまう「後戻り」を防ぐ効果も期待できます。

 

【かどおか歯科医院】による乳歯矯正の治療方針

当院では、豊富な経験を持つ歯科医師が、最新の技術と知見に基づいた治療を提供しています。

3Dスキャンと経験豊富な歯科医師による精密な治療計画

当院では、iTero(アイテロ)など最新の3D口腔内スキャナーを導入しています。これまでの粘土のような型取りとは違い、光でスキャンするだけで、不快感なく精密にお口の中の状態をデータ化できます。

この3Dデータをもとに、お子さま一人ひとりに最適な治療計画を立案します。

矯正を始める前に知っておきたいQ&A

お子さんの矯正治療は、決して小さな決断ではありません。治療を始める前に、保護者の方が抱く疑問や不安についてお答えします。納得して治療に進むためにも、ぜひ参考にしてください。

治療の痛みやリスク、デメリットはないの?

矯正治療には、残念ながらメリットだけではありません。考えられるリスクやデメリットについても、正直にお伝えします。

  • 痛みや不快感
    装置をつけ始めた時や、調整した後の数日間は、歯が浮くような痛みや違和感が出ることがあります。多くは数日で慣れますが、痛みが強い場合は痛み止めを服用することもあります。
  • 虫歯のリスク
    特に固定式の装置の場合、歯磨きがしにくくなり、虫歯や歯肉炎のリスクが高まります。当院では、治療開始前に専門の歯科衛生士によるブラッシング指導を徹底し、リスクを最小限に抑えます。
  • 後戻りの可能性
    治療によって綺麗になった歯並びも、何もしなければ元の位置に戻ろうとします。これを「後戻り」といい、防ぐために治療後は「リテーナー」という保定装置を一定期間使用する必要があります。

当院では、これらのリスクを事前にしっかりとご説明し、ご理解いただいた上で治療を進めてまいります。

まとめ:お子さんの歯並びが気になったら、まずは専門家へ相談を

今回は、乳歯に隙間がない場合の影響と、その対処法について解説しました。

  • 乳歯に隙間がないと、将来の歯並びの乱れや虫歯のリスクが高まる可能性がある。
  • 5歳~6歳になっても隙間がない、受け口になっているなどのサインがあれば専門家への相談を検討する。
  • 家庭でできる対策として、「よく噛んで食べること」や「癖の改善」が挙げられる。
  • 専門的な治療には、お子さんの成長段階に合わせた様々な種類(予防矯正、床矯正など)がある。

お子さんの歯並びに不安を感じたとき、一人で抱え込まずに、まずは専門家である歯科医師に相談することが何よりも大切です。インターネットの情報だけではわからない、お子さん一人ひとりに合ったアドバイスが必ず見つかります。

当院では、お子さんの歯並びに関する無料カウンセリングを実施しております。どんな些細なことでも構いませんので、ぜひお気軽にご相談ください。お子さんの健やかな未来と、自信に満ちた笑顔のために、私たちが全力でサポートいたします。